239 / 1000
翻弄されるエガワくん②
「………ダビデ像。」
一起は裕紀の身体を見るのは、去年のクラス対抗競泳の時以来2回目だ。しかしその時と今とは心境が違う。
「ふ、お前…去年も同じこと言ってたぞ。」
「え?……いや、覚えてない…ですけど。」
「他の連中は五●丸だの、ミスターサ●ケだの言うのに混じってダビデ像は破壊力凄かったぞ。」
「変ですか?」
拗ねたように訊ねる一起の隣に裕紀は腰を下ろして、一起の少しだけ細っこい身体を抱き寄せた。
「すっげー可愛い。」
ドクン ドクン ドクン ドクン
こんなに大きく鼓動が鳴るのは初めてだった。
一起はモテないことはない。女子からは「カッコいい。」だの「好きです。」だの言われる機会も多い。「可愛い。」なんてクラスの男子たちの揶揄 い以外で言われたことはなかった。
腹が立つ形容詞のはずなのに、一起は照れるほどに喜びを感じていた。
ともだちにシェアしよう!