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マツダくんの本音③
「………ねぇ、ツワブキちゃん……1組の清田とカッちゃんが話していたんだけど……、松田ちょっとヤバいっぽい。」
「………ヤバい?」
「カッちゃんが言うには、明らかにオーバーワークなのに本人が自覚してないからいつ倒れてもおかしくない状態なんだって。それでコントロールが乱れ始めてるって……清田が頭かかえてた。恐らく気持ちとか…その辺の乱れで……。」
「………オーバーワーク…って……?」
「知らない……でも最近授業以外で松田を見かけなくなってるから、時間があれば全部トレーニングや練習に費やしているんだと…。」
拓海はふと卓上のカレンダーを見た。隣に住んでいるのに、近くで智裕 を見たのは、目があったのはいつだろうと顧 みる。
毎日、一方的に遠くから見つめてはいたが。
「ツワブキちゃん……やっぱアイツはツワブキちゃんのこと忘れらんないんだよ。単純でバカだけど、初めてなんだよ、こんなことなるの……。」
「…………高梨さん。」
「ツワブキちゃんはまだ、アイツのこと好き?」
高梨の悲痛の質問。その目には既に涙が浮かんでいた。
(俺は……泣いちゃダメだ……大人なんだから、もうダメだ。本音も全部隠さないとダメだ…。)
拓海はニコリと笑って答える。
「俺の感情なんて、関係ないよ。」
その言葉を聞いた瞬間、高梨の頬に一筋だけ涙が伝った。
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