253 / 1000
マツダくんの本音⑤
「松田ァァァ!」
智裕の捕球をしていた3年の今中 はキャッチャーマスクを外し、立ち上がって智裕に近づく。
「てめぇ、日に日に悪くなってんぞ!すっぽ抜けんのこれで何球目だ⁉︎集中しろ!」
「はい…。」
その様子を見てた野村は智裕の元に駆け寄る。
「松田くん、俺が監督に言ってくるから今日はもう帰って休んで。」
「何でだよ。」
「今中先輩が言った通りだよ。日に日に悪くなってるし、昨日までも追い込み期間とはいえオーバーワークだよ。ダウンランニングと柔軟して帰る準備して。」
「俺は…!」
「これ以上エースがこんな球投げてたら示しがつかなくなる!チームの士気にも影響するんだよ!」
近くにいた野球部員は全員びっくりしていた。いつも穏やかな野村が声を荒げる場面など初めて見たからだった。幼馴染の智裕でさえ初めてだった。
苦虫を噛むような表情で、松田はその場を離れた。
「野村……悪いな。」
今中はバツが悪そうに謝る。
「平気ですよ。俺が監督に報告するので投球練習続けて下さい。」
「ああ、頼んだぞ。」
ロード中
ロード中
ともだちにシェアしよう!