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マツダくんの本音⑧
「熱中症、それに脱水症状も見られました。一晩点滴を打って、明日の午後には退院出来ますよ。」
「あの……息子が全然目を覚まさないのは…。」
「寝不足と過労ですね。身体に負荷をかけている割に休息が十分でなかったと考えられます。退院しても2、3日は安静にして下さい。」
「はぁ……ありがとうございました。」
病院から連絡を受けた松田母は、すぐに運ばれた総合病院に駆け込んだ。処置が終わると医者に呼ばれて、智裕の症状について説明を受けた。
拓海は松田母が入っていった診察室の前にいた。智之はジュースを飲んでやっと落ち着き、泣き疲れた茉莉は拓海に抱っこされて寝ていた。
シーンとしていた中、入口の方からバタバタと走る足音がする。
「智之、遅くなったな。」
「とーちゃん……。」
「にーちゃんは大丈夫か?」
「うん、今かーちゃんが先生に呼ばれて話聞いてる。」
「そうか……石蕗 さん、うちのバカ息子が迷惑かけました。本当に申し訳ありません!」
松田父は呼吸を整えるのもそこそこに拓海に対して深く深く頭を下げた。それを見た拓海は慌てる。
「僕は当然のことをしただけですので、頭をあげて下さい。」
「智之まで世話になったみたいで……本当に助かりました。感謝してもしきれません…ありがとうございます。」
「松田さん、もう結構ですから……それに、智之くんはよく我慢しました。不安でたまらなかったはずなのに気丈にしていました。どうか労ってあげて下さい。」
拓海がニコリと笑って諭すと、松田父は智之の隣に座り頭を強く撫でた。
智之は不安から解放されて父親の胸に飛び込んで泣きじゃくった。
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