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マツダくんの本音⑩

 処置室では、智裕が2本の点滴に繋がられて穏やかに眠っていた。拓海は智裕の顔をじっと見つめる。 (たった2週間で随分痩せちゃってる………無理してたの本当だったんだ。)  元々丸みがなかった輪郭が更に鋭くなったようだった。左腕は逞しくなり黒く日焼けていた。 「あ……れ……拓海、さん…?」  弱々しい声が微かに聞こえた。拓海はすぐに智裕の顔を覗き込んだ。 「智裕くん?気がついた?」 「……いや、夢だよな……俺、フラれたんだし……。」 「え……?」  まだ意識がはっきりしていない智裕は、拓海を見つめるが、目の焦点が合ってない。 「夢にまで……出てこないでよ……拓海さん……。」 「智裕くん……夢じゃないよ。」 「夢なら……言ってもいいよね…?」  智裕は点滴の刺さっている左手を動かして、拓海の腕を掴む。その手には力が無かった。

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