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エガワくんへの指令②

「先生……昼休み…終わりますから……。」 「はいはい。」  一起の秘部から自身を引き抜き、手早く身なりを整えながら裕紀は本題に入った。 「来週期末テストだろ。そんで野球部の県予選が期末終わった翌日なんだよ。ここまで言えばわかるだろ?」 「松田の勉強の面倒見ろってことですね。」 「森先生からは、松田に関しては昼休みにと部活後のトレーニングを禁止にしてもらってる。その時間を勉強に()てろとのことだ。」 「………善処します。」 「ついでに宮西も頼むな。あいつマジでやんねーと留年だからな。」 「それも善処します。」  事務的な返事しかしない一起に裕紀はちょっかいをかけるように後ろから抱きしめた。 「先生、もう教室戻りますから。」 「一起が甘えてくれたら離してやるよ。」 「はぁ⁉︎」 「せんせーだいすきー(カッコ)はぁと(カッコとじ)、くらい言って欲しいなぁ。」  一起は赤面して俯く。瞳は困惑で揺れている。 「す………好き、です………。」  聞こえるか聞こえないかくらいの声量。裕紀は一起の顔を掴んで振り向かせると、深い口づけをした。  甘く、とろけるような。
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