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オオタケくんの変化⑤
クラス中の視線が一起に集中攻撃した。一部の女子(腐女子の界隈)からは悲鳴があがる。
「なっ!これは…っ!た、ただの虫刺されだっ!」
(先生、こんなとこに……!)
一起は思わず手でその箇所を隠し、顔が真っ赤になる。
智裕と裕也も立ち上がって一起に近寄る。宮西は某制汗剤のCMの匂い鑑定士のように一起の上半身を嗅ぐ。
「お前ら……な、何してんだよ…!」
「なーんか微妙に香水だか整髪料かの匂いがするなぁ。移り香ってやつか?」
「は、はぁ?」
「彼女か⁉︎お前、そんな澄ました顔して彼女いたのか⁉︎」
「嘘だろ!一起!嘘だと言ってくれ!俺と一緒に童貞の誓いをたてたじゃねーか!一起ぃ!」
「桃園の誓いみたいに言うな!何もないっつの!彼女もいねーよ!」
一起は追い詰められていたが、チャイムが鳴り、古文の先生が入ってきたので危機は免れた。
一起も一息ついて席に座ると、通信アプリからメッセージが飛ばされた。
(増田 さんが個人メッセージ?)
_もしかして、星野先生?
_大丈夫、言わないでおくから。
_私の心の中に閉まっておくよ。
画像が送信された。それは先程、準備室でカーテンを閉める前に裕紀にキスをされていた場面だった。
_図書室から戻るときにたまたま見かけちゃっただけだからね♪
_星野先生って情熱的なんだね(*´艸`)
_今度詳しくきかせてね⭐︎
一起の頭の中はフリーズした。そしてちらりと増田の方を見ると、サムアップポーズで嬉しそうな顔をしていた。一起は引き笑いを返した。
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