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オオタケくんの変化⑥

 翌日の昼休みから一起のスパルタ塾は開講された。生徒は智裕と宮西。裕也は赤点とろうがあまり関係なかったので傍観者になっている。  しかし裕也は落ち着かなかった。今日は直倫が来ていない。ミルクティーをすすりながら、目は泳いでいる。 (なんだよ赤松の奴……野球部の昼休み練習禁止だって言ってたくせに……あれ?なんで俺こんな気にしてんの?いつも隙あらば触ろうとして迷惑してたし、俺にとっては良いことなのに……あれ?なんか変だぞ。こう……何でだよ、とか、ふざけんな、とか……あれ?何で?意味わかんねーし!) 「うわあぁぁああ!助けて拓海(タクミ)さーーーん!」 「うるせーよ。県予選終わるまで石蕗(つわぶき)先生との接近禁止。」 「鬼ぃ!鬼ーーーー!」  智裕は苦手な勉強漬けと拓海不足で気が狂いそうになっていた。宮西は魂が抜けてロボットのようになっていた。 「そこは、この公式を使えば猿でも解けるだろうがアホ。」 「うーん……xを代入して……これは、zで……うぅぅううぅ……。」  幼馴染が頑張っている姿は滑稽なのでいつもなら揶揄(からか)って笑うのに、裕也は直倫が気になってしまて上の空だった。
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