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オオタケくんの変化⑦
そんな裕也に気がついたのか、野村が近づいて声をかけた。
「大竹くん、ちょっと赤松くんのとこ行ってきてよ。」
「はぁ⁉︎カッちゃんが行けよ。」
「これ、赤松くんに貸すって約束してた本。今日彼フリーバッティングのメインでこれを予習に使ってもらいたいから。」
「だから何で俺が。」
「暇でしょ?俺暇じゃなんだよね。今から堀 先輩と今中 先輩と大事なミーティングあるからさ。」
強引に渡されたのは文庫本サイズの専門書。「アベレージヒッターとパワーヒッターの流儀」と書かれている。
「赤松くん、最近1発を狙いすぎて紅白戦での打率が落ちているんだよね。週末は隣の県の高校と練習試合もあるし、大竹くんも応援してあげてよ。」
「いやいや、俺カンケーなくね?」
「い い か ら 行 っ て こ い 。」
(カッちゃんの目が小4の時に悪ふざけで川に落とした時と同じ目だった……!)
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