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オオタケくんの変化⑧

 気迫に負けた裕也は渋々1年の教室があるフロアへ向かう。1年4組の教室の前に着くと、適当に声をかける。 「なぁ、赤松いるか?」  ドアの近くにいた男子生徒は(たず)ねられると教室を見渡し、誰かに声をかけた。 「おい、水上(みずかみ)ー。赤松ってどこー?」 「んー?知らねーけど。」  裕也は水上と呼ばれた男子に目を向けると、驚いた。同時に怒りを思い出した。 「あーーーーー!お前、あん時の!」 「あ?あれー、まっつんのツレのおチビさんじゃん。」  ニヤニヤしながら水上は裕也に近づいた。 (で、でけぇ……。) 「よぉ……まさかテメェのツラを拝むことになるとはなぁ。」 「そうですねー、俺もあのお猿さんにもう1回会えるとは思わなかったなぁ。」 「お前1年だろ!敬語使え!」 「俺、あんたのこと敬ってないから無理だね。」  2人の間に火花が散る。周りの生徒たちは戦々恐々と遠巻きに見つめる。

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