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県大会初戦④

『2番は、ピッチャーの松田です。』 『恐らく犠打(バント)で赤松を進塁させる打順でしょうね。』  高梨は自分の部屋で増田と里崎(さとざき)と一緒にノートパソコンの画面を食い入るように見ていた。 「これってつまり、松田くんは期待されてないってこと?」 「そういうことだと思うよ。打つ練習ほぼしてないって言ってた気がする。」 「うーん…私もあんまり野球詳しくないからわかんないや。」  里崎は片倉の家にいる宮西にわからないことを通信アプリで訊ねながら、3人は試合を見守る。 『キャッチャー、球が逸れた!その隙に赤松は3塁へ!これでノーアウト、ランナー3塁です。』 『これでバント策は不必要ですけど、松田選手の打撃はどうなのでしょうか?』 「やっぱこれ松田くん三振フラグだね。」 「さっきはあんだけカッコ良かったのにね。」  カキーンッ 『打った!セカンド抜けてライト前!3塁赤松ホームイン!しかし松田は間に合わず、1アウト。第四高校、1点先制!クリーンアップに入る前に得点を入れました第四高校。』 「赤松くんはめっちゃ祝福されてるけどね。」 「松田は……あ、先輩に頭叩かれてる。」 「ヘルメット取るの早っ!」
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