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アカマツくんの決心

_お疲れ!今日は先頭からヒット出塁凄かったな! _でもホームランじゃねーからな。せいぜい頑張りたまえ。はーっはっはっはっ(*゚∀゚*)  帰宅してからスマホを確認した直倫は、片想い相手からの嫌味ったらしいメッセージに胸を躍らせた。 「……ホームランじゃ、なかったから……。」  やはり確実性を狙うと、どうしてもフライにならない。頭でわかっていても身体がホームランを打てるようになっていない。  沢山のバッティングに関する本も読み漁った。だが克服出来ない。  直倫は電話をかけた。 『もしもし?どうした赤松。』 「清田先輩、お疲れ様です。」 『おう。2回戦は明後日だからな、今日はゆっくり休めよ。』 「………先輩、またお願いがあります。」 『あ?大会中だぞ。それにお前は今の調子でいいんだけど。』 「どうしても、ホームランを打ちたいんです!主将や清田先輩みたいに、飛ばしたいんです!」 『いや……お前さ、フライ意識すると詰まっちまうじゃねーか。』 「お願いします!決勝戦でホームランを打ちたいんです!」 『…………赤松。』 「はい。」 『野村と監督に頼んでみないとわからないけど、明日からお前の打撃投手を松田にしてもらう。アイツからフライを打てるようになればいけるはずだ。』 「……はい。」 『今日見て分かっただろう。アイツの球は並みのレベルじゃ簡単に真芯で捉えて飛ばせない。かなり厳しいぞ。松田はヘタレだけど。』 「……わかってます。やらせてください。」 『よし、頑張れ。じゃあ、今日はもう休め。』  そうして清田との通話を終えると、赤松はすぐにスマホの動画フォルダを開いた。  再生したのは智裕の投球練習の動画。鋭いストレート、正確なコントロールと緩急、決め球のスプリットのキレ、全てがハイレベルだった。 (これを打ちに行くのは正直怖い……だけど、やらないと!俺はこの人を超えて、堂々と、裕也先輩に……っ!)
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