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ドキドキ☆クラス対抗水泳大会①
1学期の終業式の前日の午後、祭りは始まった。
その名も「2年生クラス対抗水泳大会」、イコール、男子たちにとっては「年に1度女子のスク水姿に謁見する日」だ。
2年5組、松田 智裕 も例外ではなく女子の水着姿に鼻の下を伸ばしていた。
しかし今年は更に大変なことになっていた。
「あああああああ………。」
見学者と一緒に並んで座っているのは、水着姿の恋人だった。
「………松田、キモい。」
「うっせぇ!」
「いや、ツワブキちゃんパーカー羽織ってるじゃん。」
「でも前チャック全開……鎖骨とか首筋とか……あーキスマークつけてぇ。」
「ちょっと松田くん!それ私も賛成!行ってきて!」
「おう!増田 さん、行ってくるぜ!」
「いいわけねーだろ、場をわきまえろ。」
増田の後押しも虚しく、一起 の片腕首絞めで淫猥な行為は阻止された。攻撃後、智裕は首を押さえながらトボトボと整列を始めた。
近くにいた他クラスの女子は密かにキャッキャとしている。彼女たちの目線は一起に向けられていた。智裕は隣にいた野村 に話しかける。
「いいよなー、江川っち。女子にキャーキャー言われてさ。俺だって県大会であんなに活躍したのにさ、全くキャーキャー言われねーんだけど。」
「まぁ松田くんはモテるオーラないから無理だよ。」
「そんなストレートに言わなくてもよくね?」
野村に一撃を食らわされたところで、体育教師が飛び込み台に立ち拡声器を持って話を始める。
「えー、準備体操も終わったのでこれからクラス対抗水泳大会を始める。くれぐれも怪我の無いように安全第一で!」
諸注意が終わるとクラス毎にまとまり、まず最初の競技に出場する生徒が入水する。5組からは6人出場した。
智裕の出番はまだ先なのでプールサイドに座って応援をする。
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