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ドキドキ☆クラス対抗水泳大会⑥
「何してんのよこのアバズレが。」
くるみが抱きつく反対側から智裕をくるみから剥がしたのは、水浸しの里崎だった。
事情を知らない第三者は2人の美女が智裕を取り合っているように見えて大歓声が起こる。
里崎が怒っていることに気がついた智裕と野村は諌めようと努め始める。
「誰あんた?」
「いやそれこっちの台詞だから。二股かけて思いっきり振った分際でよくいけしゃあしゃあとそんなこと言えるわね。逆に感心するわ。」
「はぁ?つーかそういうこと吹き込まれて私前カレにフラれたんだけど?意味わかんない。だって智裕はフリーなんだから誘ってあげてんのよ。」
「このバカがフリーって言ったの?言ってないでしょ?ねぇ、松田!」
「ふぇ⁉︎いいいい言ってない!俺フリーじゃねーし!言ってない!」
里崎に気圧されて声を裏返しながら慌てて応えた。くるみは信じられないと言わんばかりに驚愕した表情をする。
「そんな……智裕に彼女なんて…どこの誰よ!何年何組の女よ!」
「え、えっと……そ、それは……えーっと。」
間違っても拓海のことをバラすわけにはいかない。
5組の全員もハラハラして見守っていると、里崎が智裕の耳を思いっきり引っ張る。
「こいつは年上の社会人の最上級の美人と付き合ってんのよ!アンタみたいなアバズレじゃなくてこんな馬鹿に対して一途に愛してくれるラブラブな恋人がね!」
「はぁ⁉︎」
間違ってはいないし的を得ている里崎に5組は賞賛の拍手を送った。特に宮西は珍しく感心したような表情になっていた。
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