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県大会決勝戦②

「両校、礼!」  ホームベースに両校の監督と先発メンバーが並び、審判の合図で頭を下げた。  そしてけたたましくサイレンが鳴る。  聖斎学園が守備について、バッテリーは最終調整の投球をする。1塁側のネクストバッターサークルには第四高校の1番打者、直倫が素振りをする。  そんな直倫の横で直倫に話しかけるのはスコアラーでベンチ入りした野村だった。 「赤松くん、昨日も話した通りだ。聖斎のバッテリーは初球から打者を怯ませる為にストライクゾーンに150km/h超えのストレートを放ってくる。君ならしっかり選球出来る。真芯に当てるならそこがチャンスだしそこしか無い。絶対振り遅れるな。」 「はい!」 「松田くんのストレート打てたんだ、怖くない!」 「はい!」 「しっかり振ってこい!」 「はい!」  そして野村は直倫の背中を強く叩いて送り出す。 「赤松ー!頼むぞー!」  2番打者の智裕もヘルメットを被って準備を始めながら直倫に応援を送る。

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