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県大会決勝戦③

『まず第四高校、1番は遊撃手(ショート)の赤松直倫。マウンドに立つ聖斎のエース、赤松直能の弟。第四高校では唯一の1年生です。』 『すごく似ていますね。体格もほぼ一緒ですし。直倫選手の方は打率と盗塁成功率は今大会1位ですからプレースタイルは異なっているようです。』 『四高の(もり)監督は、赤松直倫の選球眼を評価していました。これによりボール球に手を出さず出塁して盗塁で早々に得点圏へ進むので作戦を組み立てやすいそうです。』 『いわゆるスモールベースボールの典型ですね。』 『さぁ、この兄弟対決、第1打席はどうなるのでしょうか。』  打席に立った直倫の目線、約18m先には3ヶ月振りに対面する兄の姿があった。実家での優しく聡明な兄とは別人のようだった。 (兄さん……俺は兄さんを超えさせてもらいます!)  セットポジション、振りかぶって、球が放たれた。直倫は極限の集中力で球を見る。  軌道は野村と清田が事前に読んでいた通りだった。 (真ん中の豪速球……振り遅れるな!遠くに飛ばせ!)  カキーンッ

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