328 / 1000

県大会決勝戦④

 四高の体育館はわき上がった。直倫が振った瞬間に金属バットの快音が鳴る。 『初球を打った!引っ張られた球は伸びて、レフト追いかける、追いかけるが、入ったーーー!第四高校、先頭打者、赤松直倫が先制点となるホームラン打ちました!今ダイヤモンドを一周します!打たれた聖斎の赤松直能はレフトスタンドを見つめています。』  入った瞬間、その場にいる全員が立ち上がって喜んだ。興奮していた。割れんばかりの拍手が鳴り響いた。 「赤松すげーーー!」 「なんだあいつ!ホームラン打てねーって克樹(カツキ)が言ってたじゃんか!」 「すごい!すごいよ!赤松くんすごい!」 『四高ナインも大喜びですね。あ、ネクストにいる松田選手は怒っているみたいです。』 『おそらくプレッシャーになったのでしょう。あまり打撃が得意な選手ではないのでね。』  普段から直倫を知る2年5組も歓声を上げた。  そんな中立ち上がりはしたが、1人開いた口が塞がらないチビがいた。 「ああああああ……う、っちゃ…ったあああああああ⁉︎」 「あ?大竹、何言ってんだ?」 「あれホームラン⁉︎赤松が⁉︎打っちゃった⁉︎」 「どー見ても赤松しか打ってねーだろ。見ろ、あの映像を。」 「すごいね赤松くん。普段すごいクールなのに…よっぽど嬉しかったんだろうね。」  ホームベースを踏んでダグアウトに帰ってきた直倫は、感情を爆発させるように激しく部員とハイタッチをし「ヨッシャー!」と叫んでいた。

ともだちにシェアしよう!