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県大会決勝戦⑤
「かかかかかかか一起!一起一起一起!」
「何だよ大竹、くっつくなウザい!」
「どど、どうしよ……俺、赤松にホームラン打ったら付き合ってやるって約束しちまったよ!」
「はぁ?知るか。」
「うわあぁぁぁぁぁぁ、ど、ど、どうすればいいんだよーーー!」
裕也は絶望して騒いでいると、後ろからメガホンでど突かれた。加害者は高梨だった。
「往生際悪いわよ。」
「うるせーよ!俺はふわふわ系巨乳の彼女が欲しいの!」
「赤松くんの想い、ちゃんと真剣に向き合って約束したの?そうじゃないなら今から真剣になりな!このクソチビが!」
「な……っ!」
そんな言い合いをしていると、今度は体育館中にため息が溢れた。
『2番、松田は変化球を打ちましたがショートゴロで1アウトです。』
『彼は投げる方で活躍しますからね。』
「あー…。」
「アイツほんとバッティングはゴミだな。」
「バットに当たっただけマシじゃね?」
体育館の後ろの方で立ち見をしている拓海は恐らく今この空間で唯一瞳を輝かせている存在だった。
(智裕くん…カッコよすぎるよぉ…っ!)
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