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県大会決勝戦⑦
清田がホームランを打った時、裕也は周りが喜んでいるのを横目にスマホと睨めっこしていた。
フリックしようとする親指が震える。何度も文字を打ち間違える。何度も何度も修正して、震える手でメッセージの「送信」をタップした。
_約束守る。
_俺も赤松が好きです。
(あーーー送ってしまったあああああああ!)
清田の次がアウトになり、1回表は第四高校が3点先制という結果で終了した。
そしてまた体育館は歓声が上がる。
『さあ、1年越しの決勝戦のマウンドに上がります、松田智裕です!球場も大歓声に包まれています!』
『もう高校野球ファンは待ってましたという気持ちでしょうね。』
『昨年の準決勝後に怪我をして競技から離脱、懸命にリハビリを続けてグラウンドに帰ってきました松田智裕です。』
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