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県大会決勝戦⑨
聖斎のベンチでは直能がプロテクターを外してグラブをはめる。捕手の島田 もキャッチャーのプロテクターをつけて準備する。
「まさかミッちゃんにやられるとはな、タカ。」
「いや…あれは直倫の力だけじゃない。配球パターンを読んだ上でのバットの振り方だった。」
「あー、ミッちゃんに話しかけていたスコアラーか。あいつとキャッチャーの…清田?やべーな。」
「僕たちは相当研究されている。投打、1球も気を抜けなくなってる……面白いじゃないか。」
「お前はそういうのに燃えるタイプだったな。」
(去年の決勝がもし松田智裕だったとしても僕は打てている。だが今日はどうだろうか。そしてあと俺は何点失ってしまうのだろうか。)
直能もまた、この試合で完投勝利を目指している。一筋、額から汗が流れた。
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