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県大会決勝戦⑩

 四高の攻撃、先頭は7番の3年生、白崎(しらさき)からだった。 「白崎ぃ!塁に出ろよ!」 「よっしゃあ!」 「白崎さん頼みます!」 「任せろ!」  清田はベンチから身を乗り出して直能を観察する。智裕は今中と話しながらグラウンドを見る。 「赤松のにーちゃん、今のところストレートとチェンジアップと…カーブだけですね。」 「向こうの赤松の持ち玉はそれだけだ。」 「マジ⁉︎俺カーブだけ投げられないんだけど。」 「お前の方が球種も多いしコントロールも正確だしな。しかし向こうのバッテリーも気付いただろうな、甘い球は通用しねーって。」 「俺、甘い球めっちゃ打ち損じましたけど。」 「だから更に集中して神経削るだろうし、もしかしたら途中で力尽きるかもな。下位打線も徹底的に追い詰めたら…勝機は見える。」 「あ、もう無視されてる?」  カキーンッ  白崎はライト前にヒットを打ち、1塁に出た。  それから8番は内野ゴロだがその間に白崎は2塁へ。  9番が三振、打者一巡し、直倫の2打席目が回ってきた。

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