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県大会決勝戦(11)
(3-0、まだ心許ない…もっと差をつけて松田先輩を守る。裕也先輩に頼まれている。)
島田はチラリと直倫を見る。
(ミッちゃん、さっきの打席の時より雰囲気軽くなってるな。ホームラン打って安心したような、気が抜けているわけじゃないが……こうなるとミッちゃんの弱点は無いに等しい。どうにか長打を避ければ次のヘボバッターで0点で終了か。なら、見たことない兄貴を見せてやるよ。)
島田のサインを確認した直能は驚いたが、顔に出さず頷いた。そして投げられた球は、ワンバウンドで捕球された。直倫は振ってしまった。
(フォーク⁉︎いや、速かった……まさか…っ!)
「スプリット……だと…。」
「………聖斎、こんな隠し球を…。」
「松田くんと同じくらいの落差があるスプリット…。」
呆気にとられている清田と堀と野村。
そんな3人に松田は金属バットを持って立ち上がり言い放つ。
「俺、中学からスプリット投げてるから、赤松兄とは年季が違いますよー…と。」
余裕そうな智裕の口調は、緊張した先輩達を怒らせた。
「生意気なんだよ松田!」
「松田のくせに偉そうに言ってんじゃねーよ!」
「シケメンの松田くんは黙ってた方がいいよ。」
「なんで⁉︎酷くね⁉︎俺もエースだよ⁉︎」
「はいはい、次はお前のご自慢のスプリットをもっと披露してやれ松田。」
今中は智裕の首根っこを掴んでベンチから出す。
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