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試合終了④

 堀は直能に謝罪する。 「うちの馬鹿が不適切な発言を、失礼しました。」 「いえいえ。」  直能は実際のところ何を言われたのかさっぱりだった。  そして目線を弟の直倫に向ける。 「直倫。」 「はい。」 「聖斎(ウチ)にいた頃に比べて成長したな。選球眼も良くなった。」 「ありがとうございます。」 「今年からトライアウト受けるのか?」 「……はい。」 「頑張れよ、お手本がいるんだから。」 「はい。」 「夏休みは母さんに顔を見せてやれよ。」 「はい。今日、兄さんと戦えて、俺すごく嬉しかったです。」 「そうか、俺も楽しかったぞ。」  直能は直倫の頭に手を置いて、ヨシヨシとする。野村はごく自然にそれを盗撮した。 「野村、何撮ってんの?」 「え?あー、うちのクラスの女子が欲しがりそうな()だなぁって。」 「直能さんに俺もヨシヨシされたい……。」 「松田くん、キモいよ。」 「直能さーーん!一緒に写真撮ってくださーーい!」  松田はスマホを構えて直能と直倫の元に直行した。

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