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もう1人のマツダくん②
「もう7-0でツーアウトランナー無しやで。ちょっと実験したくなるやろ。」
「ならへん!アンタだけや!」
「あーもー、畠もそのアホ相手にするとアホがうつるて。時間の無駄や。」
呆れて2人を止めるのは3年の中川 駿太 、馬橋の4番で八良と同じくU-18日本代表選手の1人。
中川はため息を吐きながら八良の後ろに立ち、八良を肩に担ぎ上げた。
「何すんねん!シュンちゃん降ろせやあぁぁぁ!」
「降ろして欲しけりゃそのデカい態度を改めろ、糞チビ。」
「うっさいわ!この巨人!巨乳好きの巨根が!」
168cmの八良と、188cmで部内一の筋肉を誇る中川では力の差は歴然だった。
「あー…今日の反省もええですけど…神奈川県、第四高校が優勝しましたよ。」
タブレットをいじりながらその場にいる全員に伝える黒縁眼鏡をかけたマネージャーの飯田 は深刻そうな顔をした。
その空気を察して暴れていた中川と八良も動きが止まる。八良は担がれたまま真顔になる。
「第四高校って……“東の松田”がいるとこか。」
「あの赤松 直能 から本塁打、神奈川県最強打線を無失点で抑えたそうですよ。」
「へー、すごいね。あの聖斎に勝ったんだ。」
「感心している場合じゃありませんよ部長。赤松の最終打席に松田が放った球がエゲツないんですわ。」
飯田はタブレット端末を持って金子の隣に行く。そしてみんな金子のところに集まり出したので、飯田は動画を再生する。
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