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勝利の報酬④
四高の職員室では、メディア対応に追われていた職員たちが一息ついていた。その中には拓海と裕紀もいた。
「石蕗先生、お疲れ様でした。」
「あ、お疲れ様です。」
星野は隣のデスクの椅子に座って、拓海に近づいて潜めた声で話し出す。
「どうでしたか?恋人の勇姿は。」
「……あ、あの…すごく……かっこよかった、です。」
「ずっと顔がほころんでましたよ。」
「へ?そうでしたか…やだなぁ……。」
拓海は両手で顔を押さえて羞恥する。裕紀はその仕草に小さく笑った。
「今晩はどうするんですか?このままご帰宅ですか?」
「……最初はどこかで食事と思ったんですけど…人の目もあるし、夜俺の家でケーキでお祝いすることにしました。」
「そうですか。娘さんは?」
「今日明日で彼のご両親が預かってくれてます。お母さんのご厚意に甘えさせてもらいました。」
「良かったですね。じゃあ松田 と会う時間まで一緒に食事でもどうです?車ですからアルコールは無しですが。」
「はい、是非。」
拓海は自分が設定したにもかかわらず迫り来る時間に緊張していた。なので裕紀のこの誘いはありがたかった。
荷物をまとめて裕紀と一緒に職員室を出ると、外の様子が見えた。遠目からでもわかる、智裕の姿に拓海は胸が高鳴った。
(あれは、マネージャーの野村くんと…1年生の赤松くんか。どうしたんだろう、すごく楽しそう。)
「本当に石蕗先生は恋に盲目ですね。」
「へ?そうですか?」
「普段はしっかりしていらっしゃるのに、どうしてあんな奴なんですか?ま、その辺もこの後じっくり聞かせてもらいますけど。行きましょう。」
「はい。」
拓海は何を訊 かれるのかとドギマギしながら大きな裕紀の背中について行った。
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