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アカマツくんの想い①

 智裕は直倫を連れて、昔も今もよく行く近くの公園のブランコに乗りながら、呼び出した相手を待っていた。 「大竹んチはあそこな。そんで俺と宮西(みやにし)はそこの団地、でもう1コ向こうの川沿いのとこに高梨(たかなし)んチとヨーコさんチ。野村は町内が違うけどまぁまぁ近いとこに住んでて、ここでよく野球みてぇな遊びやってたんだよ。」 「へー。先輩は抜群に上手かったんですか?」 「いや。俺女子より下手くそだったわ。ずっと右投げ右打ちでやってても上達しなかったんだけど、それを反対にしたらこの通り。」 「そんなことってあるんですね。」 「けど打つ方は左でも全くダメ。大竹の方が上手いのがシャクにさわるんだけどな。」 「裕也先輩って続けてたら野球部でもレギュラーだったんじゃないですか?」 「うーん、でもあいつちっちぇーしな。昔からチビだったけどまさかマジで止まるとは思わなかったわ。本人諦めてねーけど。」 「そういうところも可愛いんです。」  智裕は「うげぇ」と気色悪がりながらブランコをもっと勢いよく漕ぐ。 「なぁ、何で大竹に惚れたんだ?あいつに惚れる要素なんか女子目線でも1コも思い当たらねーんだけど。」 「俺、ここで裕也先輩に出会ったんです。」 「ここ⁉︎」  直倫は懐かしそうに天を見上げて話し出す。

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