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アカマツくんの想い③
話し終えると直倫はその日を思い出して恍惚とした表情を浮かべていたが、いつのまにかブランコを止めていた智裕は青い顔をして引きつった笑みを浮かべる。
(それ、大竹が自分より弱ぇ奴見つけた時の先輩風吹かした時のいつもの行動、とは言わないでおこう。)
「つーか学校行こうとして此処に着くとかアホすぎだろ。お前方向音痴なの?」
「実家の周り、こういうゴチャゴチャした道が無かったので。さすがに今は慣れましたよ。」
「あー、お前の実家って聖斎 の近くっつってたもんな。」
智裕はブランコから降りると、柱のところに置いていたスポーツバッグを肩に掛けた。
「ったく、おっせーぞ!」
公園の入り口から明らかに部屋着のTシャツ半パンジャージの裕也が小走りで走ってきた。
「うるせーよ!風呂入ってたんだよ!」
「え、早くね?」
「今日は灼熱地獄の蒸し風呂体育館でお前らの応援してたっつの!身体中ベトベトしてたんだよバーカ。」
「うえー…想像しただけで気色悪ぃ…。」
「感謝しろよ、ヘタレエースが。言っとくけどお前画面越しだと完全に赤松の兄貴に負けてたからな。」
「ああ、いいんだよ。直能さん、キラキラ眩しいもんなぁ。一緒に写真も撮ってくれたし握手もしてくれたし…。」
智裕はまた先程の赤松直能との邂逅を思い出して顔を緩ませた。
「さーてと、俺はとっとと帰るとするかな。赤松ぅ、そこのチビあとは頼んだぞ。」
「はい、お疲れ様でした。」
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