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アカマツくんの想い④

 直倫は去って行く智裕の背中に向かって頭を下げる。  そして3秒して身体を上げると、裕也の方を見る。その視線に気付いた裕也は急に緊張して顔をあさっての方向に向ける。  ドクン ドクン ドクン  どちらも心臓が大きく打っている。  お互いの立ち位置は5mは離れていて、夜の虫の声や車の音、川の流れる音と風の音がうるさいはずなのに、2人とも相手の心音が聞こえるようだった。 「あ……のさ………っ!」 「はい。」 「ホ、ホームラン…あ、ああ、兄貴から打ててよかったじゃん。まぁ、あれだ、トモの球に比べたら、大したことなかった、みたいな?…じゃなくて!」  また裕也は言葉を詰まらせて、次の言葉を吐き出そうと必死になる。 「あの、裕也先輩…!」 「はひぃ⁉︎」  急に直倫に声を掛けられて驚くと変な声が出てしまう。  その驚きの拍子に直倫とバッチリ目が合った。

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