362 / 1000

アカマツくんの家④

 裕也はまた落ち着かなくなったのでとりあえずリモコンを手に取りテレビをつけた。だが集中できるわけもないので、冷蔵庫を開けて飲み物を探す。大きな冷蔵庫の中はスカスカに近かった。 「飲み物…って、炭酸水、水、麦茶、スポドリ……あと…粉末のプロテイン?ストイックか!」  目ぼしいものもなかったので何もせずに閉める。廊下に出ると、開きっぱなしなっている洗面所が見え、その隣に扉が、向かい側にも扉が2つあった。  洗面所の隣はトイレで、向かい側は1つは空き部屋、そしてもう1つはかなり大きいサイズのベッドがあった。ここは直倫の寝室だろうと察した。 (寝室…っつーことは、エロ本とか恥ずかしいもの掘り出せるかもな!ウシシ…。)  いつも男友達の部屋からロクでもないものを発見するレーダーが働いて無遠慮に直倫の寝室に突入した。  照明を点けると、まずはその広さに愕然とした。 「うわ……これ俺の部屋の倍あるな…それに、ベッドでけぇえええ!」  裕也の部屋とは違いかなり整理整頓された白と黒を基調とした部屋。推定クイーンサイズのベッドもシーツがしっかりと敷かれていた。  裕也はとある衝動に駆られ、それを我慢できなかった。  スリッパを脱いで素足になると、部屋の端から助走をつけて思いっきり直倫のベッドにダイブした。 「うほぉ!すっげーフカフカぁ!あいつこんなんで寝てんのかよ生意気だなぁ。」  枕も大きなもので、カバーもシワひとつなかった。枕を頭に乗せると丁度よく心地よい沈みだった。 「この寝具ぜってぇたけーよ。あれだ、アスリート御用達とかそういうやつだー。あいつニ●リとか絶対知らねーだろうな。」  身体が完全に布団とマッチして、段々と心地よくなると裕也はそのまま眠気に襲われた。  緊張していた疲れもあった思考は完全に停止した。

ともだちにシェアしよう!