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ホシノ先生のアドバイス①

一方その頃、拓海(タクミ)裕紀(ヒロキ)は車で10分もしない場所にあるイタリアンの店に入った。 「ここの店、女性陣が美味しいって言ってて気になってたんですよ。」 「へー、俺久しぶりです、イタリアンなんて。娘と一緒だとファミレスやフードコートになってしまいますし。」  店員に案内されて窓際のテーブルに向かい合って座った。カジュアルなレストランらしく値段も手頃だった。 「俺はノンアルコールの白ワインにしようかな。」 「それってもうぶどうジュースですよね。でも美味しそう。」 「石蕗(つわぶき)先生は少しは酔った方がいいんじゃないですか?」 「…そ、そんなことありませんよ……もう星野先生ってば…。」  一通り注文をして、ボトルで頼んだノンアルコールの白ワインがグラスに注がれた。  「乾杯。」と軽くグラスをあわせた。 「あ…すごい。本当のワインみたいですね。」 「最近は美味いノンアルコールが増えてますから良い時代ですよ。」 「星野先生は普段からお酒飲まれるんですか?」 「晩酌で発泡酒を1本くらいですね。俺見た目ほど酒飲まないですから。」 「親睦会の時に飲み方がすごく綺麗だなぁって思ってたので少し意外です。」  クスクスと笑う拓海の笑顔が美しく、裕紀は思わず見惚れそうになるが余裕のある笑みを返した。  すると拓海が照れたように下を向いた。

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