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ホシノ先生のアドバイス④
「それで、その彼女は見つかったんですか?」
「はい……どうやら会社の上司と不倫駆け落ちしたっぽくて……それもあって彼女の実家の方から謝罪されては色々と援助して頂きました。」
「可愛い顔して意外と波乱万丈ですね。」
「あはは……こんなこと人にお話したのは初めてかもしれません。いくら智裕くんでもまだ未成年ですから、こんな汚い大人の話は出来ないです……隠しているみたいで心苦しいですけど。」
丁度良いタイミングで料理が次々と運ばれてきた。
拓海は自然に取り皿に少量ずつ裕紀の分も取り分けた。
「すいません、こんなことさせてしまって。」
「ふふ、いいんですよ。いつもまーちゃんにやってるので慣れてます。あ、まーちゃんのことで思い出したんですけど、宮西くんって凄いですよね。」
「はい?あの仏頂面のアホがですか?」
「以前、休日にファミレスで一緒にご飯を食べたんですが、子供の扱いに慣れていてまーちゃんにご飯を食べさせてくれたんです。」
「へー…あの宮西に人を慈しむ精神があったんですね。」
2人はフォークを持って料理を口に運ぶ。
「このカルパッチョ美味しい…。」
「本当ですね。」
「はぁ、こんなに美味しいもの久し振りに食べたかも。」
「石蕗先生、本当に幸せそうに食べますね。」
「うー…なんか食い意地張ってるみたいで恥ずかしいです……。」
少し恥じらう拓海は頬を赤くしてモグモグと食べる。
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