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ホシノ先生のアドバイス⑤
「ちょっと松田の気持ちが分かった気がするなぁ。」
「ふへ?」
「石蕗先生、松田に天然とか無防備とか注意されません?」
「へ?んー……あ、たまに言われるかもしれないです。この前の水泳大会の時も……っ!」
拓海は水泳大会の時のアレを思い出してしまって、顔が熱くなり対面にいる裕紀を見れなくなった。
「あー…あの時はお見苦しいところを、失礼しました。」
「い、いえ!あの、俺も、誰にも言いませんので!………あの、江川 くんですよね?学級委員の……。」
「ええ。クラスの連中からは“鬼の江川”だの“殺戮兵器”だの言われてますけど、案外可愛いんですよ。」
裕紀は愛おしそうな声で笑い、ワインを飲む。拓海はパンを一口分ちぎりながらその顔に見とれた。
「いいですね……本当に好きなんだなぁっていうのが伝わって、江川くんが羨ましいです。」
「石蕗先生、松田の奴はもっとヤバいですよ。口を開けば貴方の名前ばかり出しますから。」
「そ、そうなんですか?」
「本当にウザいくらいです。ああいうのを溺愛、とでも言うんでしょうか。県予選中なんて居眠りしながら拓海さん拓海さんうるさかったんで、、広辞苑でチョップしてやりましたよ。」
(智裕くん、よく無事だったなぁ…。)
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