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ホシノ先生のアドバイス⑥
メインで頼んだ肉料理が運ばれてきて、拓海は一層喜んだ。ノンアルコールだがワインのボトルを追加で注文して2人の食は益々進んだ。
「んんー、おいしー!」
「おススメメニューでしたし、頼んで正解でしたね。」
「はい。はぁ……今度は智裕くんとも食べたいなぁ……。」
一瞬だけ寂しげな顔になった拓海を裕紀は見逃さなかった。
「アイツとはデートみたいなことはしたことないんですか?」
「……はい。本当は今日、何処かへ食事とでも思ったんですが……智裕くんの立場でそれは危ういかと。」
「賢明ですね。」
「デートとかしてみたいですけど……ね。」
生徒との恋仲という共通点があるからか、拓海はポンポンと普段からの不安や本音を裕紀に漏らしてしまう。
「ごめんなさい!なんか愚痴っぽくて、俺ばかり…。」
「いいですよ。たまには吐き出さないと、ね。」
「本当、すいません……あ、あのワイン注ぎますね。」
拓海は裕紀の空いたグラスに慌ててワインを注いだ。
「で、松田へのご褒美はケーキだけじゃないでしょ?」
「へ?」
裕紀の言葉に拓海は驚き、慌ててボトルをテーブルに置いた。
すると急に裕紀に右手を掴まれた。
「あ、あの…星野せんせ……な、なにか?」
「参考までに、俺が可愛い恋人にして欲しいことを教えてあげますよ。」
「し、て……ほしい…こと、ですか?」
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