368 / 1000

ホシノ先生のアドバイス⑥

 メインで頼んだ肉料理が運ばれてきて、拓海は一層喜んだ。ノンアルコールだがワインのボトルを追加で注文して2人の食は益々進んだ。 「んんー、おいしー!」 「おススメメニューでしたし、頼んで正解でしたね。」 「はい。はぁ……今度は智裕くんとも食べたいなぁ……。」  一瞬だけ寂しげな顔になった拓海を裕紀は見逃さなかった。 「アイツとはデートみたいなことはしたことないんですか?」 「……はい。本当は今日、何処かへ食事とでも思ったんですが……智裕くんの立場でそれは危ういかと。」 「賢明ですね。」 「デートとかしてみたいですけど……ね。」  生徒との恋仲という共通点があるからか、拓海はポンポンと普段からの不安や本音を裕紀に漏らしてしまう。 「ごめんなさい!なんか愚痴っぽくて、俺ばかり…。」 「いいですよ。たまには吐き出さないと、ね。」 「本当、すいません……あ、あのワイン注ぎますね。」  拓海は裕紀の空いたグラスに慌ててワインを注いだ。 「で、松田へのご褒美はケーキだけじゃないでしょ?」 「へ?」  裕紀の言葉に拓海は驚き、慌ててボトルをテーブルに置いた。  すると急に裕紀に右手を掴まれた。 「あ、あの…星野せんせ……な、なにか?」 「参考までに、俺が可愛い恋人にして欲しいことを教えてあげますよ。」 「し、て……ほしい…こと、ですか?」

ともだちにシェアしよう!