369 / 1000

ホシノ先生のアドバイス⑦

 裕紀に掴まれた手は、持ち上げられると唇に触れそうな距離まで接近する。指先に裕紀の吐息が当たる。 「ケーキは、そうだなぁ……真っ白なショートケーキがいいですね。」 「ショートケーキ……。」 「そして俺の膝の上に乗ってもらって、あーん、とかしてくれたらいいですね。」 「あーん……ですか。」 「フォークじゃなくて、可愛い指で……。」 「へ⁉︎」  何か身の危険を感じたので拓海は咄嗟に手を引っ込めた。裕紀はクスクスと笑う。 「大丈夫ですよ、石蕗先生には手は出しませんから。」 「は……あの、ごめんなさい……でも、何か食べられそうで……。」 「ははは、すいません。でもどうですか?想像してみてくださいよ。貴方の指先を恋人が舐め取ってくれますよ?」 「も、もう……星野先生、意地悪ですね…。」 (そんなこと想像するだけで恥ずかしいのにぃ…。) 「これはウチのクラスの阿呆どもからの情報なんですけどね、松田の慰めのお供、セクシー系お姉様らしいですよ。」 「せ、せくしー?」 「そうです。ヘタレだから実はリードされたがりなんですよ。迫るより迫られたい、ってことらしいですよ。あ、松田の性癖諸々はクラス全員の共通認識ですからご心配なく。」 (智裕くんってクラスではプライバシーがないんだなぁ…。)

ともだちにシェアしよう!