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マツダくんへのご褒美③

 とりあえず家に上がり、ソファに腰掛けて鼻血が止まるまでティッシュで押さえていた。 「智裕くん、大丈夫?」 「だいじょばない……。」  鼻血の元凶である拓海は智裕の目の前に座って上目遣いで智裕のことを覗き込む。  普通のコスプレ用メイド服かと思った衣裳は、レースで作られたスケスケのベビードールで、上から覗くと乳首がチラチラと見えてしまっている。 「拓海さん……それ、どうしたの?」 「やっぱり、変、だよね。これならご褒美になるって、星野先生が教えてくれたんだけど……。」 「変じゃない!変じゃないからヤバイんだって!可愛すぎてやばいの!」 「………可愛いの、引かない?」 「もうご褒美最高!」  智裕は鼻の両穴にティッシュを詰めた最強に間抜けな状態で爽やかに笑った顔を拓海に向ける。それに安心した拓海はふわりと笑う。 「あ、あのね、ケーキ買ってきたから一緒に食べよ?」 「う、うん。」  チリンチリンと鈴を鳴らしながら拓海は冷蔵庫に向かう。  その後ろ姿を見てしまった智裕は、両穴を塞いでいたティッシュをまた赤く染めた。

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