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マツダくんへのご褒美⑤

 しかし智裕はあるものが無いことに気がついた。 「拓海さん、フォークは?持ってきてない?」 「………た、食べさせてあげる…。」 「え、手づかみ?ワイル……ド、だぜぇ?」  「ワイルドだね。」って揶揄(からか)おうとしたら、目の前で起こった出来事に驚いて某芸人風の言い回しになってしまった。  拓海は右手の人差し指と中指で純白の生クリームを掬って、それを智裕の口元に持っていく。  そして智裕を少し上目遣いで見上げて、首をコテン、と倒して、頬を赤らめて。 「智裕、くん……あ、あーん?」 「あー…ああ⁉︎」 「ご、ごめんなさ、」 「いや、食べる!食べる!…!」  拓海が手を引っ込めようとしたので智裕がその手首を掴まえて、クリームのついた指をパクリと口に咥えた。  甘さ控えめのクリームなのだが智裕の口は激甘になる。 「お……美味しい?」 「ん……おいし……残さず舐めないとね。」 「ふぇ?……んっ!」  智裕は拓海の指先を丹念に、わざとイヤラしく舐める。チュ、と音も鳴るように。  指先に集まる神経が、全て智裕に支配された拓海は思わず声が漏れる。 「ん…ふぅ……も…いい、よぉ……。」 「だめ、まだ残ってる。」  指先を1本ずつ舐めてはキスをする。そうしながら智裕は拓海の感じている様子を舐めるように見つめる。

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