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マネージャーの亀裂③
「よし!10分休憩!」
「はい!」
休憩の号令がかかり、野村はドリンクを配る。しかしその数が半分足りなかった。
「あれ?坂口先輩?」
辺りを見回すと、坂口の姿がどこにもなかった。すると冷水機のある方向からクーラーボックスを持った堀が歩いてきた。
「野村、坂口となんかあったか?」
「え?」
堀はクーラーボックスをおろして、ドリンクを出した。部員たちには自分で取るように指示すると野村に近寄る。
「さっき坂口にさ、お前の居場所訊 いた途端に泣いてどっか行ったんだけど。」
「はぁ……。」
「喧嘩でもしたのか?」
「しませんよ。」
「そっか……坂口、いないなぁ。」
野村は嫌な予感がした。
プロテクターを外すと、少し抜けることを了承してもらい、駆け足で昇降口へ向かった。
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