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マネージャーの亀裂④
坂口がすでに帰っているのではないかと昇降口を確認したが、おそらく坂口の靴箱にはまだローファーがあった。運動部の女子マネージャーは体育館の横にある更衣室で着替えているはずなのでそこへ向かうことにした。
しかしその道中で、野村は立ち止まった。
「ねぇ、もうバラしてやろうよ。そしたらアイツも試合出るどころじゃなくなるしさ!」
坂口の声がした。
声のするほうにそっと近づいて聞き耳を立てる。
坂口は誰かと話しているようだった。
「もうアイツも、監督が連れてきた眼鏡も邪魔なのよ。今までぬくぬくやってたくせに、急にマジになるしさ。県大会初戦で引退できるとか思ってたのにさ。」
「堀先輩って真面目なんだからそりゃそれくらいいくでしょ。去年が体制クソで不遇すぎたから堀先輩もスタメン入れなかっただけでしょ?」
(あれ…?あの声、どっかで……。)
「大体何よ、監督も清田 も!『エースが汚れる』とか言ってたくせに、あっさり手ぇひきやがって!」
(監督と清田くんが、手を引く?)
「気持ち悪いのよ、ホモがチヤホヤとヒーロー気取っててさ!」
(……まさか、坂口先輩たちは松田くんと石蕗 先生とのこと…。)
「今ならこの写真、高く売れるわよ……そんでアンタが望む通り、今度こそ引き裂かれるわ。」
“写真”という単語に野村は居ても立っても居られなくなってしまい、陰から飛び出した。
会話をしていた2人は飛び出してきた野村を驚いた顔で見ており、野村ももう1人の人物に驚いていた。
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