422 / 1000
新たなパートナー①
野村が目を覚ましたら、視界には白い天井が広がっていた。
「あ、目が覚めた?」
隣から女子の声が聞こえて、野村はゆっくり頭を向けると見知った輪郭があった。
眼鏡をかけていないのでボヤけているが、大体誰だか理解した。
「増田 さん…?どうして……。」
「1年の水上くんが運んできたんだけど、彼、練習行かなきゃいけないって言ってて、たまたま通りかかったから野村くんの見張り引き受けたの。」
「あー……ここ、保健室?」
「目が覚めたかな?」
シャー、とカーテンの開く音がすると、白衣を着た拓海 が野村の傍にやってきた。
「酸欠っぽかったから、もう少しだけ安静にしててね。」
「すいません……。」
「横になったままでいいから、これ飲んでね。」
拓海はストローが刺さったペットボトルを増田に渡した。
野村は横になったままストローを吸って中のイオンウォーターを口に含んだ。
「さっき森先生がいらっしゃって、もう今日は帰っていいって。親御さんにも連絡して、もうすぐ迎えに来るから、それまでゆっくりしていてね。」
「すいません……ご迷惑おかけしました…。」
「野村くん、頑張り屋さんだから、少し休んだ方がいいよ。智裕くんも心配してたからね。」
「はは……あのバカに心配されちゃいましたか……。」
拓海は「ふふっ。」と笑うとカーテンを閉めて出て行った。
「増田さん…どうして学校に…?」
「文芸部の部誌作りでね。もう帰るところだったから。」
「本当ごめんね。」
「いいよ、野村くんの方が大会始まってから大変そうだったし。あれだけ強くなったのにマネージャー2人だけだもんね…。しかも野村くんって練習メニューなんかも考えているんでしょ?」
「あー、でも選手たちの方が何倍もつらいだろうし……それにもう1人のマネージャーもさっき辞めちゃったんだよねー……。」
野村は「ははは。」と辛そうに笑った。
増田はそんな野村の額を無意識に撫でた。
「……野村くんってさ、ホワワンとしてるように見えて1番厳しいよね、自分に。」
「そうかな?」
「うん、中学の時もこんなになってたの……私遠くから見てたから。」
「……そっか、見られちゃってかたぁ。」
ともだちにシェアしよう!