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新たなパートナー①

 野村が目を覚ましたら、視界には白い天井が広がっていた。 「あ、目が覚めた?」  隣から女子の声が聞こえて、野村はゆっくり頭を向けると見知った輪郭があった。  眼鏡をかけていないのでボヤけているが、大体誰だか理解した。 「増田(ますだ)さん…?どうして……。」 「1年の水上くんが運んできたんだけど、彼、練習行かなきゃいけないって言ってて、たまたま通りかかったから野村くんの見張り引き受けたの。」 「あー……ここ、保健室?」 「目が覚めたかな?」  シャー、とカーテンの開く音がすると、白衣を着た拓海(タクミ)が野村の傍にやってきた。 「酸欠っぽかったから、もう少しだけ安静にしててね。」 「すいません……。」 「横になったままでいいから、これ飲んでね。」  拓海はストローが刺さったペットボトルを増田に渡した。  野村は横になったままストローを吸って中のイオンウォーターを口に含んだ。 「さっき森先生がいらっしゃって、もう今日は帰っていいって。親御さんにも連絡して、もうすぐ迎えに来るから、それまでゆっくりしていてね。」 「すいません……ご迷惑おかけしました…。」 「野村くん、頑張り屋さんだから、少し休んだ方がいいよ。智裕くんも心配してたからね。」 「はは……あのバカに心配されちゃいましたか……。」  拓海は「ふふっ。」と笑うとカーテンを閉めて出て行った。 「増田さん…どうして学校に…?」 「文芸部の部誌作りでね。もう帰るところだったから。」 「本当ごめんね。」 「いいよ、野村くんの方が大会始まってから大変そうだったし。あれだけ強くなったのにマネージャー2人だけだもんね…。しかも野村くんって練習メニューなんかも考えているんでしょ?」 「あー、でも選手たちの方が何倍もつらいだろうし……それにもう1人のマネージャーもさっき辞めちゃったんだよねー……。」  野村は「ははは。」と辛そうに笑った。  増田はそんな野村の額を無意識に撫でた。 「……野村くんってさ、ホワワンとしてるように見えて1番厳しいよね、自分に。」 「そうかな?」 「うん、中学の時もこんなになってたの……私遠くから見てたから。」 「……そっか、見られちゃってかたぁ。」

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