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新たなパートナー②
野村は少し思い出す。
中学時代は選手として軟式野球部に所属していた。
何となく過ごしていたが、テレビや雑誌で見かけるかつての相棒の活躍と今の自分との差に辟易 していた。
そんな中で主将に任命されて1人で部をまとめる為に頑張っていた。
から回ってしまっても、頑張った。
しかし最後の中体連はすぐに負けた。野村の中には虚しさだけ残った。
「なーんでまた野球始めちゃったかなぁ……。」
やめて、もう関わらないと決めていたはずだった。
今の倒れた自分を嘲笑うように言葉にすると、増田が野村の冷えた手を握ってくれた。
「…好きなことに理由なんてないよ。」
「………そっか…俺、野球好きなんだっけ……。」
「好きじゃなきゃ、あんなに対戦相手のデータを収集したりノート書いたり出来ないよ。」
「そっかあ……。」
野村の目から一筋の涙が溢れた。
その涙で増田は意を決した。
「野村くん、マネージャーって兼部でも構わないかな?」
「え?」
「私、野球部に入るよ。野村くんのサポートする。文芸部は3ヶ月に1度の部誌発行だけだから家でも出来るし……だめ、かな?」
「いいの?」
「野村くんのこと助けたい。一緒に甲子園行こうよ!ここまで頑張ってきたんだから!」
野村は上体を起こして、増田を抱き寄せた。増田の肩が少しだけ濡れた。
「ありがと……増田さん……。」
「よろしくね、野村くん。」
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