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野球部閑話【アカマツ兄弟の見分け方】①

「………うーーーーん。」  部活動が終わり、智裕(トモヒロ)は部室で「高校野球マガジン 神奈川県版」を読んでいた。  巻頭特集は優勝候補だった聖斎(せいさい)学園の野球部。  中でも主将(キャプテン)でエースでクリーンアップという二刀流の赤松(あかまつ)直能(ナオタカ)が大々的に取り上げられている。  ユニフォーム姿の直能と写真と、目の前でボクサーパンツ一丁になっている直能の弟である直倫(ナオミチ)を智裕は交互に見比べる。 「双子?」 「はい?」 「お前と直能さん。かろうじて髪型が少し違うから見分けつくけど……身長183cm体重75kg、サイズも顔も一緒だし…タレ目でつり眉…わかんねーなー。」 「そうですか?」  隣で着替えを終えた桑原(くわはら)も後ろから雑誌を覗き込み、直倫を見る。 「言われなきゃ双子だし、ちょっと頭弱い奴は入れ替わっても気づかねーかもな。」 「桑原先輩、俺は直能様信者ですから気付きますよ。」  現在、智裕のスマホのホーム画面は県大会後に撮った直能とのツーショットから直能だけをトリミングした画像になっている。

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