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野球部閑話【アカマツ兄弟の見分け方】②

「あれだ、赤松、お前眉毛全剃りしろよ。」 「申し訳ありませんが全力で拒否させていただきます。」 「ちょっとお前と直能さんの違いを挙げてみろよ。」  智裕にそう言われて、直倫は制服を着ながら「うーん」と考える。 「筋肉の鍛え方とか量ですかね。俺は兄さんよりも太腿が太いかと…。」 「マニアじゃねーとパッと見てわからねーよ!」 「あと…あ、兄さんには左目の少し下に泣きボクロがあります。俺は右の眉尻に…。」  直倫は「ほら」と少ししかない前髪をわざわざ上げて右眉に注目してもらう。  智裕と桑原は直倫に近づいてマジマジと見る。 「……全然わかんねーよ。」 「この距離まで詰めねーと見えねーじゃねーか。あと赤松直能も泣きボクロなんかなくね?」 「まぁこれくらいの大きさですから、全身写真だと見えませんよね。」 「赤松、お前おちょくってんのか?」 「いえ?」  本気でとぼけている直倫にイラッとした桑原は直倫の(たくま)しいシックスパックの腹筋を平手打ちした。 「ほんと神様って不公平だよな!何だよ赤松ブラザーズ!顔良し頭良しモテる感じのマッチョで実力も超高校級!見ろよ赤松!」  そう言って桑原は何故か智裕の顔を両手で挟んで直倫に差し出すようにする。 「日本のエースだと言われいる男の顔だ。地味だろ。」 「……………………そんなことはないです。」  直倫の無駄な沈黙が、智裕の心を傷つけた。

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