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運命の抽選会②

『そういうわけだ。日数は少ないが各自が100パーセントの力を出せるようにしっかりと練習するように。』  抽選会を終えた(もり)監督はビデオ通話で部員に話をしていた。 『それと遠征中のことなんだが、宿泊は馬橋学院の旧野球部寮に宿泊することになった。初戦の相手だ、礼儀正しく節度ある行動をするよう。以上だ。あとは今中(いまなか)に任せた。』 「はい。」  そして監督との通話が切れたところで、視聴覚室は騒ついた。 「おいおいおいおい!初戦馬橋とかもう無理ゲーじゃん!」 「記念試合だな…甲子園の土を持って帰るかぁ……。」  諦めムードが漂う。エースの智裕は呆然としてしまっていた。  しかしこの状況に喝を入れたのは、副主将(キャプテン)の今中だった。 「馬鹿野郎!俺たちがそんなこと言って踏み台にされた奴らはどんな気持ちか考えろ!」  正論を叫ばれて一斉に静かになった。智裕はハッと目が覚めた。 「松田、お前は相手の何人かの選手は実際に会ってんだろ。」 「あ……はい。エースの八良(ハチロー)先輩、それと4番のシュンちゃん先輩…あとさっき堀先輩の隣にいた主将(キャプテン)金子(かねこ)先輩、みんな3年前に一緒のチームにいた…3人とも凄い選手です。」

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