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いざ、馬橋学院へ⑦

「四高のみなさん、遠いところお疲れ様です。僕が馬橋の主将(キャプテン)の金子雅嗣(マサツグ)です。何か不便があったら遠慮せず言ってくださいね。」 「こちらこそお世話になります。挨拶!」  宜しくお願いします!  四高も全員一礼して挨拶をした。 「森先生は職員宿舎に部屋を用意してますんで、私が案内しましょ。金子、あとは頼んだでー。」  監督たちは別の場所へ移動した。その方向に向かって両校の部員は頭を下げて「お疲れ様です!」と挨拶した。 「マネージャーさんは飯田(いいだ)、頼んだで。」 「はい。」  金子に呼ばれて出てきたのは練習着でなく、Tシャツにハーフパンツを着た眼鏡の細身の男子生徒だった。  野村と増田は堀に促されてその飯田という人物の近くに寄った。 「馬橋学院野球部マネージャー、1年の飯田です。よろしくお願いします。」 「よろしくお願いします。マネージャの野村克樹(カツキ)、2年です。」 「マネージャーの増田琉璃(ルリ)です。」 「野村さんは四高の選手たちと同じ建物(たてモン)ですけど、増田さんは向こうに女子寮あるんでそちらまでお願いします。」 「はい……。」 「女子マネージャーが2人おるんで、詳しいことは彼女らに聞いて下さい。」 「えっと、わかりました。」  飯田はニコリと笑ったが、目は笑っていなかった。  むしろ野村に向ける視線がバチバチとしていて増田は1歩下がった。 (だ、大丈夫かな……。) 「の、野村くん、またあとで、ね?」 「うん、いってらっしゃい。」  増田は逃げるように飯田の教えてくれた方向へ早歩きで行った。

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