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いざ、馬橋学院へ⑧

 増田が去った後、飯田は野村を再び冷酷に睨んだ。 「そちらの松田さん、聖斎の赤松にえらいモン放ってましたね。」 「………まぁ、はい。」 「守備におったメンバーもビックリしとったんに、貴方とキャッチャーは冷静やなぁって思いましたわ。」 「…よく見てるんですね。」 「馬橋には通用しませんからね。」 「でも、うちのエースは天才ですからね。」  マネージャー眼鏡の間に今ゴングが鳴った。  離れた場所にいた智裕と桑原(くわはら)はそのピリついた雰囲気に声をかけられずにいた。 「松田、お前行ってこいよ。」 「いや無理っすよ。野村めっちゃ怖いですから!」 「幼馴染だろ!いけよ!」 「それ今関係ないですって!」  揉めている間に堀が「早く行くぞ!」と声をかけたので四高全員は金子に案内されて、数日間の拠点になる旧野球部学生寮に向かった。

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