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新たな同士たち②
隣を歩く梨々子が増田を覗きながら訊ねてきた。
「なぁ、ルリちゃんって呼んでええ?」
「え、い、いいですよ。」
「なら私のことはリリコって呼んでな。」
梨々子はとても人懐っこい性格のようで、増田は緊張がほぐれていった。
「キョーカ先輩とウチ、同室やねん。ルリちゃんも同じ部屋やで。」
「狭いかもしれんけど、元々は4人部屋やから。机や収納も空のとこあるから遠慮なく使ってな。」
「はい、ありがとうございます。」
話しているうちに部屋に着いたようだった。ガチャと外薗が扉を開けると2つの2段ベッドがあり、奥には学習用机が4つ置かれている如何にもな学生寮の風景があった。
「右側の上のベッド使ってな。荷物は奥の机のとこに収納もあるからテキトーに置いといていいから。」
「はい。」
外薗に示された箇所にとりあえずキャリーバッグを置くことにした。
増田はその時通った、普段2人が使用している学習用机の机上に目が入った。
「ひゃあぁぁぁぁ!」
突然増田が高い声を上げたので2人は驚いた。
「ルリちゃん⁉︎」
「何⁉︎どないしたん⁉︎虫がおった⁉︎」
「あ、あの!この、漫画!」
増田は思わずそれを手に取った。
その漫画本のタイトルは『氷の仮面シリーズ③ その眼差しで僕を虐めて』。
増田が好きなBL漫画だった。
「ど、どちらの……。」
「ああ、それみんなで読み回して……まさか……⁉︎」
「……私も、好きです。」
3人は無言で見つめ合うと、円陣を組んで抱き合った。
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