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賑やかな食堂②

「俺ホンマ嬉しいわー!まさか甲子園でトモちんと戦えるとはなぁ。」 「俺は緊張して吐きそうですよ。」  智裕の向かい側には中川と、何故か不機嫌そうなチリチリパーマの2年生の投手・金谷(かなや)(アユム)がいた。 「普段のまっつん見とったら、あのマウンドの松田智裕は別人やないかって思ってまうわ。」 「シュンちゃんせんぱーい…3年ぶりなのにいじめないでー。」 「トモちんは遊び甲斐があるもんなー。」 「遊ぶなー!」 「チッ!」  八良が智裕にじゃれた瞬間、中川の隣からドス黒いオーラが放たれた。  出どころは舌打ちした金谷だった。 「あゆむん、なんか機嫌悪いなぁ。」 「別にフツーですわ。」 「いや、普通やないやろ。お前ただでさえチンピラみたいな目ぇしとんのやから。」  体格は中川とほぼ同じくらいで、目つきが非常に悪いのでその鋭い眼光を向けられた智裕はビビリ上がってしまった。 「ごごごごごごめんなさい!なななな何かしたかわからないけどごめんなさい!」 「ホンマ幻滅したわ。どんな奴や思とったらただのヘタレやないか。」 「お、あゆむんは素直やなぁ。」 「へ、ヘタレで申し訳ありません!」  智裕はテーブルにおでこをつける勢いで頭を下げた。  金谷はそんな智裕を見下ろす。その光景はただのカツアゲされたヘタレの図。 「金谷、ただの(ひが)みにしか聞こえへんで。」 「ホンマは馬橋にスカウトされとったんに、何でフツーの学校やねん。ビビったんか?」  金谷の言葉に智裕は固まった。  しかし隣にいた八良が金谷に向かってお手拭きを豪速球で投げつけた。  鋭い音がして、智裕は思わず顔を上げて八良の方を見ると、可愛らしい顔が般若のような形相になっていた。 「お前、俺がおらんようになったら馬橋のエースになる自覚あんのか?(ねた)(そね)みは見苦しいで。」 「………はい。」

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