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お留守番ツワブキさん
一方その頃、石蕗 家には高梨が訪問していた。
「ごめんね高梨さん、夕飯まで手伝って貰っちゃって。」
「いえいえ、いっつも家でやってるし。それに茉莉 ちゃんと遊べて私も楽しかったし。」
「みんなに遊んでもらってこんなに早く寝ちゃったしね。今お茶淹れるね。」
拓海はグラスにアイスティーを注いで、ダイニングテーブルに座っている高梨の前に出した。
「はぁ……本当、しっかりしなきゃなのになぁ、俺……高梨さんいなかったらずっとまーちゃんに怒られてたよ。」
「仕方ないよ、私もツワブキちゃんの立場だったら落ち込んじゃうって。」
「………高梨さん、ごめんね……その、高梨さん、智裕くんのこと……。」
「あ、あぁ…別に気にしないでよ。アイツ私のことお母さんみたいな目でしか見てないし。まぁ、今はツワブキちゃんとはずっとラブラブでいて欲しいっていうか、ね?」
高梨のあっさりとした態度を見ると、拓海は申し訳なさで胸が痛くなる。
それも察知した高梨は拓海の隣に立って、優しく抱きしめた。
「松田が、こんなに誰かの為に悩んだりいじけたり、自分を犠牲にしたりするの…初めてなんだよね。好きだった奴には幸せになって欲しいって…そういう女心もあるんだよ。」
「………高梨さん……。」
「アイツがいない時は、私じゃ頼りないかな?松田よりは頼られること多いんだけどさ、遠慮なく甘えてよ、ツワブキちゃん。」
「ありがと……高梨、さん……。」
「……ツワブキちゃん、やっぱ可愛いー!」
高梨は母性が発揮されて、思い切り抱きしめた。
拓海は年頃の女子相手にマズイと感じたが、その腕の中で安心した。
(大丈夫、だよね……うん、大丈夫だよ。)
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