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マツダくんとアカマツくんの夜②

 直倫の指は力一杯、智裕のガチガチに凝り固まっている肩周りの筋肉をほぐしていた。 「お前、どこで…あっ、覚えたぁ…んだよぉ…。」 「母から教わりました。兄がよく肩肘が張ったりしてたので。」 「ピッチャーの、宿命、なのか、なぁ……はぁ、ああっ!」 「はい、もういいですよ。」 「お、おう。」  智裕はそう言われて起き上がった。直倫も手をブラブラとしながら息を吐いてベッドの淵に腰掛けた。 「すっげー楽になったわぁ。」 「なら良かったです。固まりすぎると先輩の持ち味が発揮出来ないですからね。」 「あー…たしかに。」 「スリークォーターで投げる選手はみんな肩周りが柔軟ですから。」 「そうだよなぁ。馬橋の打線を攻略するには万全でやらねーと。」 「ですね。」  直倫は立ち上がり、机の上に置いていた自分のスマホを手に取る。  メッセージを何件か受信していたので開いて確認する。

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