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エガワくんの約束①
「お疲れ様です。お先失礼します。」
午後9時、一起 は私服に着替え終わってレジにいる店長に挨拶をした。すると店長に呼び止められる。
「あ、江川くん、お盆だけどシフト入ってていいの?」
「え、別に構いませんよ。母と時間がかぶらなければ。」
「いや、おばあちゃんの家行ったりとかないのかなって。入ってもらえるのは有難いんだけど、高校生の夏休みなんだしさぁ。」
「うーん……でも予定何も無いんですよね。」
「そっか…ま、休みたい時は遠慮なく言ってね。どうせこの時間暇だし。」
「ありがとうございます。じゃ、お疲れ様でした。」
(フツーは休むんだろうな……けど本当に予定無いし…明日から3日くらい入れなかったし。どうしようかな。)
今日も生ぬるい風が吹く熱帯夜だった。
一起が空を見上げながら歩いていると、ポケットに入れてたスマホが振動した。
取り出して画面を見ると「星野 裕紀 」の文字が表示されていた。
「もしもし?」
『バイト終わっただろ?』
「はい、終わりましたけど…。」
『一起、後ろ向いて。』
「はい?」
そう言われて後ろを向くと、背の高い男性のシルエットが見えた。
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